旧 其の拾弐 広州:(上)

世界最大の茶都があるというので久しぶりに広州を訪れ、古き友人と茶館と飲茶廻りを楽しんできたんじゃ。(2005年8月9日—12日)

広州は昔から食の都と言われており、新旧の数多くのレストランが競い合っておっての、食べ歩きが実に楽しいんじゃよ。また、公園の中に素敵な茶館が点在しておって色々人生を考えさせてくれるんじゃ。

広州の茶都(正式名・広東芳村茶叶城)は地下鉄の芳村駅から徒歩15分ほどでの(タクシーでワンメーター)、確かに世界最大と言われるだけあって、旧館・新館それに通りを挟んで別館と分かれており、その周りにも数多くの店が軒を列ねておるんじゃ。それがなんと3000件と言われておるんじゃが、確かにすごいぞ。また北京や上海の茶都と比べると一つ一つの店が大きいのが、ここの特色なんじゃ。

せっかく広東に来たんじゃからと、広東省のお茶・単欉(タンソウ)茶を飲み比べしようと思っての。何件かを事前に紹介されておったんじゃが、先ずはそれを捜し当てるのが広くて大変でな、でも単欉茶のことが色々聞けて面白かったの。
そんな中、2002年の広州茶博覧会交易会で秋季(台湾で言う冬茶)単欉茶で金賞を受賞した店で試飲したんじゃが、単欉茶もなかなか素晴しいの。

対応してくれたのが店主の孫、二十歳の悪ガキそのものという風貌なんじゃが妙に貫禄があっての。

自分は勉強はからっきし駄目だがお茶は子供の頃から親しんでおり絶対の自信があると自ら言うところが妙に好感持てて、彼のお茶の出し方が実に巧みでの、はっきりと違いが判るように安いものから一つ一つ特徴を述べながら出してくるんじゃよ。

日本の単欉好きはどうも香り重視となりがちなんじゃが、彼曰く単欉茶のコンテストでは香りはあまり評価されない、一番のポイントは回韻、喉で感じる甘さ・香りなんじゃと言い張るんじゃよ。

確かに最後に飲ませてもらった宋種単欉茶(広東省:潮州-鳳凰鎮島崚山の標高1,100M近辺で採れたもの)はそれまで飲んだお茶の味と香りをすべて消してしまうような、今でも口が欲する逸品じゃったの。最上の単欉茶の香りは芝蘭香と黄枝香に 代表されるんじゃが、その香りがいつまでも口の中に広がっておるんじゃよ。

ちなみにの広州でのお茶売上ベスト3は1位:プーアール茶、2位:鉄観音茶、3位:単欉茶なんじゃと。

だから茶都の中でもやたらプーアール茶の専門店が目に付いての。特に家賃が高いクーラー完備の新館(旧館の家賃が月5000元、新館は倍との事)の中はほとんどがプーアール茶ばかりなんじゃ。どこの店でも年代物のプーアール茶を買う時に本物かと訊ねると間違いなく本物じゃと言うんじゃ。必ず付け加えるのが一番大切なのはお店との信頼関係じゃというんじゃが、信頼関係は一朝一夕には築かれんものな。

ワインを見習って国を挙げて品質と年代の管理を望みたいもんじゃと、いつもプーアール茶と出くわすと思うんじゃよ。

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