2004年02月23日
お久しぶりじゃの。
爺は12月初めまで台湾に行っておったんじゃ、冬茶の出来を見にじゃよ。 有難いことにの、爺には幾人かの茶博士と呼ばれる友人が台湾におって、春茶や冬茶の季節に訪れると、毎日お茶談義に花が咲いて時を忘れるんじゃよ。
この方達は本業は別にあって純粋にお茶を追求しておる粋人達じゃ、だからのう本当に茶葉のこととなるとそりゃもう厳しいんじゃ。 まあ、現代の陸羽ってとこかもしれんわ。話をしておると、台湾のお茶の価値が高まるのは良いんじゃが、嘆かわしい問題も出ておるそうじゃよ。今日はその中から一つを紹介しようかの。
実のところ台湾人も日本人と同じでブランド好みなんじゃよ。高山茶が今流行っておるわな、そうすると1メートルでも高いところで採れた茶葉が良いとなってしもうて、お茶の出来は関係なくなっての、価格だけが一人歩きしておるんじゃと。高い山で採れたものは希少価値があるからのう、それだけで売れるんじゃろな。しかしの、そうすると売りたいために、お茶作りに適さない日でも収穫して、お茶を作ってしまうんじゃと。
確かに高い山で採れたもの、例えば梨山なんか有名じゃが、「気候好有高品質」と言って気候が本当に良ければ最高のお茶が出来るがの、そういつもいつも天気に恵まれるとは限らんのじゃよ。だから台湾のお茶好きは、良い出来の年のお茶と出会った時、日本人が考えられないほど沢山まとめて買っておるんじゃな。まあ、日本茶と違って、烏龍茶の本当に良いものは数年たってもうまいし、かえって陳茶として珍重されることもあるからの。
まぁ大きい声じゃ言えんが、今年の冬茶は全体的にあまり出来が良くないんじゃよ。茶博士達に言わせるとの今年の冬茶は特に高山茶じゃが、「秋水乾燥・葉長不好」、「今年産量少」、「茶値偏高」、「好茶少・品質不満」なんじゃと。だからの、茶館のお茶の仕入も正直そうとう苦労したわ。
例年じゃと茶博士たちの自慢のお茶だとの50試すと10はマズマズの品なんじゃが、今年は100試してもお目がねにかなうのは5、6品がせいぜいというとこらしいわ。試しに飲んだお茶の値段と品質のバランスを考えると、爺もかなり参ったんじゃよ。
でもの、この冬は爺から皆さんへ素晴しいプレゼントがあるんじゃよ。茶博士の一人から、彼が秘蔵しておった、凍頂烏龍茶が最も輝いておった時の今は亡きお茶作りの名人が作った、1988年と1990年の陳年茶を分けてもらえたんじゃよ。これはの、もう素晴しいの一言じゃぞ。たくさん売るほどの量はないから、茶舘へ来てもらえらた皆様だけへじゃがのう。
台湾の茶館でもこれだけの品は、なかなか飲めるもんじゃないじゃろう。是非一度、味わってもらいたいもんじゃ。10年以上も前のお茶がこんなに素晴しいなんて、きっと皆様の知らない新しいお茶の世界が広がってくると思いますぞ。