其の弐 再び林文経先生のこと

林文経(リンブンケイ・1934年生)先生は茶爺閑話の最初に記したように爺の中国茶の先生なんじゃが(旧作をお読みになっていない方は旧作其の壱其の弐をご一読ください)先生が久しぶりに来日したので夕食をご一緒したんじゃ 80歳を過ぎたというのにまだまだお元気での 大好きな日本酒が入ると初めてお会いした時と同じように台湾のこと お茶のことを熱く語るんじゃよ 前回お会いしたのは台湾桃園の先生のご自宅で二年前じゃったかの その年の東方美人茶の全国大会で奥様が特等奨を受賞されての 女性で初めての受賞 そして外国人で初めての受賞 ということで台湾全土で話題となっての そのお祝いで駆けつけたんじゃ  そうそう林文経先生の奥様はベトナムのお方での14.5年前かの いきなり再婚してしまったんじゃ ベトナムで英語の先生をしていた奥様なんじゃが台湾語は全く出来んのにいきなり台湾の茶農にお嫁に来たんじゃよ
これも当時ずいぶんニュースになっての 爺も実はこれは長くは持たんじゃろと失礼ながら思っておったんじゃが彼女はほんとうに努力家で立派なお方での 一年もたたんうちに台湾語をマスターしたんじゃ
そして何よりも先生にぴったりと寄り添って2.3年で重労働でもあるお茶作りを完璧に習得しての 今じゃ台湾のお茶作りの女流名人じゃよ


お土産じゃと言って奥様の東方美人特等奨のお茶を一缶いただいたんじゃが これは値段のつかんもんでの 台湾のお茶の中でも断トツのブランド力のある東方美人 それもその年の特等奨となるといくらでも良いので欲しいというオファーがたくさん入るんじゃと でも先生は奥様の受賞が嬉しくて嬉しくての これは特別のお茶じゃと 今までお世話になった方々にお配りするんじゃ とおっしゃるんじゃ
それをお聞きして爺も思わず涙が出てきてしもうての そして爺なんかがもろうて良いもんなのか?と ご夫妻のいろいろな思いの詰まっているお茶 もったいなくてなかなか飲めんのじゃよ (品評会は8斤提出 ・・台湾は1斤=600g 因みに中国は1斤=500g・・1缶は150g入りなので32缶が他の茶葉が加わらないようにその場でパッキングされラベルを貼られ密封される)

林文経先生に最近はどう過ごされているんじゃと伺ったんじゃ そしたら世界中を歩いておるんじゃと嬉しそうに語るんじゃよ
最近はお茶作りの大半は息子の林和春先生に任せて文経先生はご夫妻でアジアの各国から招かれてお茶作りの指導をなさっておられるんじゃと 昨年は中国に何回か渡り東方美人茶の製法を伝授しておられるようでの 技術的にはまだまだじゃがその茶畑の規模の大きさは半端じゃないんじゃと 百聞は一見にしかずじゃ 爺も見に行かんとな そう言えば上海で中国産の阿里山烏龍茶が堂々と売られていたことがあったの 寂しい気もするが 東方美人茶=台湾銘茶 という図式も近い将来 変わってしまうのか知れんの そうじゃ奥様ももう完全にお茶作りの大先生での 一年の内2,3か月は祖国ベトナムでお茶作りの指導をなさっているんじゃと

素晴らしい人生じゃの 一芸に秀でているということは お茶で生きてきたんでお茶で恩返しをしたいんじゃと
素敵な永久的老朋友(古い友人)を持つとこちらまで幸せな気分になるんじゃ

今回も昨年の東方美人入賞茶と出来立ての四季春の冬茶を頂いての
林文経先生のお茶は独特の旨味があっての 飲むとすぐにわかるんじゃよ アっ先生のお茶だと そして思わず笑顔になってしまうんじゃ 幸せを呼ぶお茶じゃの 感謝感謝じゃの

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