旧 其の八 2005年春茶 上海事情

この4月の初めに北京・上海と回ってきたんじゃが、中国の方のお茶に対する購買意欲はすごいもんじゃぞ。 お茶屋に行ってみなされ、長い列を作って我先にと新茶を買い争っておるんじゃよ。日本じゃ想像も出来ん光景じゃ。

以前にもお話したように、中国でもほとんどの方は実は緑茶を愛飲しておるんじゃ。そしてその最高峰は一般的には 龍井茶と言われておるんじゃよ。

龍井茶はランクがはっきりと決まっておっての、採れた場所・時期で明確に分けられておるんじゃ。 一番良いのは獅峰で清明節の前に採れたお茶、いわゆる最高の場所で最高のタイミングに採れたお茶ということじゃよ。

いくらすると思われるかのう?

北京で1.2番を争う有名茶店「張一元」ではのう、昨年暮は寒く、又春に雪が降ったせいで 清明節前の茶の産量が極端に少なかったせいで、例年より大分高い値がついてのう、 1斤(500g)で5200元=日本円で約67000円、100グラムあたり日本円で13,400円。それでも既に完売だということじゃ。お茶に関する中国人の思いはなかなか日本の方には理解できんな。

10年程前に上海のお茶好きの友人と4人と車で龍井の知り合いの農家まで行っての、お茶が出来るまで 徹夜で麻雀をして待っとったこともあったんじゃよ

実際に作るところを見て、完成品を確認してそれを持ち帰らんと本物かどうか信用が出来 ないんじゃと。

今から思うと爺にとっても忘れられない旅になったもんじゃ。

その点、烏龍茶は面白いもんでの、あまり早摘みの茶葉は重要とされんのじゃよ。 茶造りの段階で発酵させるじゃろ、だからのうあまりにも新芽が若いと発酵度の調整が出来んのじゃよ。 烏龍茶にとってはこれからが本格的な春茶のシーズンになるんじゃ。
今年の出来はどうかな?心配じゃのう。

実は爺が一番聞かれて困ってしまうのはな、どこのお茶が良いかとか、どこで買ったら良いかと聞かれることなんじゃよ。 お茶には前にもお話ししたように、「茶性不同」という言葉があっての、作り手の微妙な体調や判断や、自然の状況や 当日の天候などで、毎日お茶の出来が変わってしまうんじゃよ。だから親しくなった茶農には、その年一番自信が あるものを是非といって、分けてもらっておるんじゃよ。

こんなこというと茶館のスタッフにはまた怒られてしまうんじゃが、お客さんには出来たらいろんなお茶屋さんや、 茶館茶芸館を歩いてみてくださいと、いつも言っておるんじゃよ。そしていろいろ比較して見てくださいとな。 そうすると千年茶館の本当の良さが判りますぞと。ちょっと言いすぎかの。爺のたわごととお許し下さい。

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