旧 其の拾五 成都:茶爺大熊猫を抱く

中国四川省の省都・成都に行ってきたんじゃが(2006年4月)、実に良いところじゃぞ。日本のお方が大好きな三国志の舞台、蜀の都での、また大猫熊(パンダ)・麻婆豆腐で世界的にも有名な都なんじゃよ

また街の名物の一つがお茶を野外で飲む姿じゃ。ちょうどこの地方の名産茶である 「竹葉青」というお茶が出回ったばかりでの、公園やお寺では大勢の人がお茶を楽しんでおるんじゃよ。

竹葉青とはな、高級品は峨嵋山という三峰をいただく、中国聖地三大霊山の海抜1000M程の裾野で新芽だけを摘み取った繊細なお茶での、名前通り若い竹を思わせる姿でのかすか甘い上品な香りを漂わせる銘茶なんじゃぞ。

市内には順心老茶館という有名な茶館があっての、まあビルの中にあるんじゃが実に良く出来ておるんじゃよ。古い街を再現した造りでの、大きな茶館を囲んでいくつもお店があっての池まであってそこにはガチョウも泳いでおるんじゃよ。

お茶はもちろん、四川名物の小皿料理も楽しめるんじゃが、ここの売りは何と言っても 午後8時から舞台で行われる、遠く蜀の時代を思い起こさせる中国式ショーでの、実に見ごたえがあるんじゃよ。大昔の人々も、このようにして茶館を楽しんでおったんじゃろな。料金はの、席によって違うんじゃが、お茶つきで前の席が88元(約1300円)後ろの席が48元(約700円)じゃと。人気のスポットでよい席確保には一応要予約と言っておった。

それとの、市内の公園やお寺には茶席があっての、文殊院や人民公園・濱江公園、気候も良かったせいか、多くの人がおったのう。お茶は僅か数元なんじゃが実にのんびりとした、ほんとに良い景色なんじゃよ。

次にの、市内から2時間ほどの場所に多くの観光客が訪れる楽山の大仏という観光地があるんじゃ。その途中に中国全土でお茶の販売を展開している天福銘茶(台湾では天仁銘茶)のお茶の博物館があるというんで、立ち寄ったんじゃが、爺も驚いたわ、これがすごいんじゃよ。

日本で言う高速道路のドライブインすべてが天福銘茶の経営でな、レストラン・茶葉販売・茶博物館それぞれが立派で大層な規模なんじゃよ。

茶博物館は入館料30元(約450円)なんじゃが、入館から最後まで説明員がついてくれての、お茶の歴史からお茶の種類や楽しみ方まで実に丁寧に説明してくれるんじゃよ。最後には蓋碗までお土産にくれるサービスぶりじゃ。

また、レストランは茶葉を使った料理で、我々は7人だったんじゃが、あれやこれやといろいろ頼んでも200元(約3000円)いかないんじゃよ。四川料理でちょっと辛いのにまいっていた我々には茶葉料理が旨くての。

茶葉販売所では、この地区の青茶で一番良いものはと訊ねたら大仏烏龍(500元/1斤=約7,500円/500g)だというんで飲ませてもらったんじゃが、これが台湾の高山茶を思わせる、なかなかのもんじゃったわ。

社長さんは台湾のお方だそうだから、いろいろ技術的にも交流しておるんじゃろな。まあ、天福銘茶の一大PRセンターの観はあるんじゃが、お茶好きには成都に行ったら是非一度立ち寄ってもらいたい場所じゃの。中国の方のお茶に対するスケールの大きさが判りますぞ。

そうじゃそうじゃ、忘れておった。やはり成都では大熊猫のお話しもせんといかんの。

爺はあまり気乗りしなかったんじゃが、皆がせっかく成都まで来たんだからパンダは見に行かなくてはいかんと、 朝一番で街から30分ほどの「大熊猫繁育研究基地」(30頭のパンダがいるとのこと)に連れて行かれたんじゃ。

ちょうど朝飯のときでのパンダがみんな食事をしておった。可愛くての。何でパンダは仰向けで笹を食べるんじゃろうかの。みんなこちらを見ながら重なりあいながら、ニコニコしながら食べておるんじゃよ。思わず爺も微笑んでしまったわ。

ここには晶晶(ジンジン)という赤ちゃんパンダがおるんじゃが、この晶晶は北京オリンピックのマスコットモデルなんじゃよ。そしてのこの赤ちゃんパンダはパンダ保護の資金集めのために抱っこすることが出来るんじゃ。

でものう、数分で一人1200元(約18000円)なんじゃと。高い安いと中国人特有の大議論が始まったんじゃが、いつの間にか皆が爺に抱っこさせようということになったんじゃよ。係員さんが抱えながら晶晶が登場したとたん、それこそ大歓声での。そして爺の膝の上に乗ったんじゃが、これがたまらなく可愛くての。大きな声じゃ言えんが、初めて孫を抱いたときよりも感動したわ。

ふわふわしての、また爺の指をジャレて噛むんじゃよ。爺は思った、パンダは中国の宝じゃと。ちなみにこの基地には小熊猫(レッサーパンダ)もおっての、これもの実に可愛いんじゃが、こちらは50元(約750円)で抱くことが出来るんじゃ。これはみんなで抱いての、いい記念写真が撮れたわ。

ガイドさんには30分ほどパンダを見て次に行く、なんて言っておったんじゃが、いい年をした連中が結局2時間ほどパンダと戯れてしもうたわ。お客とは実に勝手なもんじゃの。でも本当に癒されたんじゃ。
(パンダを見に行くときは朝一番が絶対お勧めじゃ。昼はほとんど寝ているらしいぞ。)

成都には杜甫草堂という公園もあっての、三国志・杜甫・パンダ・麻婆豆腐と揃っておって、実に多くの日本の方がゆかりと親しみを感ずる街なんじゃよ。そして川劇を見ながらの茶館や公園の中の茶席、素晴らしいですぞ。ぜひ一度気候の良いときに訪ねてみてはいかがかの。

このページの先頭へ