旧 其の拾九 劉先生の中国茶のたしなみ

この夏、茶館のプロデュースをお願いした劉ヨウコウ先生が、「中国茶のたしなみ(ぴあ株式会社)」というお題の本を出されたんじゃがの。

読んでみたら中身は北京を代表する茶館19件の案内本でのぉ、爺が題名が可笑しいんじゃないかと先生にイチャモンをつけたら、先生もそうなんじゃと、仰るんじゃ。
実はご本人は「中国茶館巡りの旅・北京編」としたかっんじゃが、昨今は中国に対するアレルギーが強く、中国の地名が入ったものはそうは売れんと出版社から言われてしまったんじゃと。
まあ、いろいろあるんじゃのぉ。

でもの、なかなかよく出来た本で、先ず写真が実に綺麗なんじゃ。
これも劉先生が撮影したのかと聞いたんじゃが、先生恥ずかしそうに経緯を話して下さったんじゃ。実は始めトライはしたんじゃが全然思い通りに撮れんと悩んでいたら、偶然素敵な出会いがあったんじゃと。その人は北京在住の写真家(佐渡多真子氏)でのぉ、彼女の作品と中国に対する愛情の深さに思わず惚れてしもうて、すべて写真はお任せしたんじゃと。やはり餅屋は餅屋じゃよの。 本の中身は、前半は北京の茶館の紹介での、一件一件の茶館ごとにその特色と価格表や地図やデータなんぞが豊富な写真と一緒にまとめてあって、日本にいながら北京の茶館にいる気分にさせるんじゃ。
そして後半は中国茶話というタイトルでのぉ、その歴史から産地・種類といった中国茶のうんちくや色々な飲み方、茶器や茶藝といった楽しみ方がびっしりで、なかなか内容豊富じゃった。

そして最後にあった「指差し中国語会話」っちゅうのに、今時は面白い本があるんじゃと爺は感心したんじゃが、本を指差せば中国語が話せなくても相手に言いたいことを伝えられるというものだったんじゃ。
簡単に言えば、中国語をしゃべれない日本のお方が茶館にたどり着き楽しんで帰ってくるまでに使う中国語を紹介してるんじゃが、ホテルからタクシーに乗ったり、席の決め方や注文の仕方、お茶を楽しむ会話そして支払から帰りのタクシーの呼び方なんかが、紹介してあるんじゃよ。

先生に「何故このようなご本を出されるんじゃ?」とお尋ねしたら、
いつものように「お茶を通じて日本と中国の相互理解がいっそう深まっていくことが私の願いです。その一助になればと思って北京オリンピックの今年8月に出版致しました。」とお返事をいただいたんじゃ。

実は爺も見誤ったことがあるんじゃよ。
今年は北京オリンピック、日本と中国の関係が一気に友好ムード一色で包まれるかと思ったんじゃ。そして中国茶というものが再びフィバーするとのぉ。
しかし皆様ご承知のように、なかなかいろいろあって萎んでしまっての、爺の予感は大外れじゃよ。

でもの、日本と中国はもう数千年という交流の歴史があるんじゃ。
そして今の時代、もうお互いに必要な隣り合わせの国になってしもうたんじゃ。
きっとそこには、また新たな日中友好の時間が必ずあると、信じておるんじゃ、爺はのぉ。

中国茶のたしなみ 〜あなたを潤す隠れ家 北京の中国茶館〜
著:劉ヨウコウ
2008年8月23日 初版第一刷発行
ぴあ株式会社  1600円+税

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